・クレーム内の括弧書き

前回のTIPと関連していますが、クレームの中の「~上に配置されたn個(nは2以上の整数)のトランジスタと、」のような表現を、そのまま「n (n is an integer of two or more) number of transistors disposed on ;」のように訳したものをネット上で見かけることがあります。

 

以前私もそのように訳してしまったとき、お客さんから、クレームの中に括弧書きの文章を入れてはならず、括弧から出して分詞表現等で記述するように言われたことがありました。

 

その通りだと思いました。特許明細書を含め日本の技術文書で括弧書きで記号の定義を述べるのは一般的ですが、英語の文章では基本的に、括弧はある語句の別の表現を述べるために使用します。したがって、記号の定義と言えども不可欠な内容であるので括弧書きするのはおかしいわけです。

 

また、英語のクレームは発明の主題を大文字で書き始めてピリオドで終わる1つの文章なので、where等を置かずに別の文章が入っているのは文法的にもおかしいわけです。

 

正しくは「n number of transistors disposed on , n being an integer of two or more;」、または「n number of transistors disposed on , wherein n is an integer of two or more;」のようになります。

 

できれば明細書の記載者の方に「~上に配置された、2以上の整数であるn個のトランジスタと、」、または「~上に配置されたn個のトランジスタであって、nは2以上の整数であるトランジスタと、」のように書いていただければ括弧書きのまま翻訳されるのを避けられると思いますが、日本語としては一般的ではないようです。

 

その後、クレームでも、ある語句の略語をその語句の横に一度括弧書きして、その語句の代わりに略語をそのクレーム内や従属クレーム内で使用できることを知りました。

 

米国出願でもクレームの構成要素に明細書・図面中の対応する構成要素の符号を括弧書きでつけてもいいようですが(MPEP608.01(m)、一般には行われていないようです。

 

 

 

 

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

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このサイトでは、特許翻訳会社クオリティ翻訳の社長兼翻訳者坂井が、クレームや明細書の語句の訳し方について語っています。